【考察】アパムは役立たず?クズ?ドイツ兵を撃った理由(プライベートライアン)
本記事はネタバレを含みます。まだ本作をご覧に慣れていない方はご注意ください。
映画「プライベート・ライアン」はスティーブンスピルバーグ監督の手掛けた大作の一つ。
今回の内容では、本作を鑑賞して印象に残った人物「アパム」にフォーカスを当てて考察していきます。
【考察①】アパム伍長は本当に役立たずのダメ兵士だったのか
本作を視聴した多くの観客の中には「アパムは無能で役立たずだ」と感じた方も多かったのではないでしょうか。
実際に作中でアパムが中隊に貢献したり、何か功績を残した方言うと、これと言った手柄は無かったのが実情です。
しかし当ブログでお伝えしたいのは「アパムは決して無能ではなかったのではないか」ということ。
(役立たずであったのは確かかもしれませんが、、)
理由は、アパムはただ「戦争慣れ」していなかっただけだからという見方もできるからです。
アパムのスペック
アパムの階級は「五等特技兵」。
「特技兵」は「兵士」の部類の中では最も位の高い階級とされています。
アパムはドイツ語とフランス語の通訳が得意としていました。
そして、戦争のことを「全てがいい経験になる」「人の感覚を磨き、意志を刺激し、肉体を強く鍛え上げ、その極限状態の中で互いに相手を人間として見極めることができる」と語っていました。
ちなみに上記の言葉はアメリカの哲学者エマーソンが残した言葉です。
アパムがこう言った知識にも長けた博識であり、戦争のいい面を見ようと考えている思想の持ち主だと言うことがここから読み取れます。
アパムの弱点は「実践経験に乏しかった」こと。
その為、実戦に必要のないタイプライターを持ち運ぼうとしたり、ドイツ軍の残していったヘルメットを被って出陣しようとしかけたりしてしまうような一面も見せました。
また当時スラングとしてよく使われていた「フーバー」の言葉の意味を知らなかった描写からも「博識ではありながらも実戦、戦線での経験のなさ」が見て取れました。
【考察②】アパムはラストシーンで何故ドイツ兵を撃ったのか
アパムが本作ラストシーンで捕虜となったドイツ兵を1人射殺した場面は、多くの観客に疑問を残しました。
アパムが射殺する選択をした理由にはいくつか諸説が考えられますが、当ブログで挙げるとしたら以下の2つです。
- 「戦場では綺麗事は通用しない」ことを確信し、行動に表したかったから
- ドイツ兵が命の恩人でもあるミラー大尉を射撃した為、少しでも報いるため
個人的には前者の「綺麗事を払拭したかった」という説が濃厚かなと思います。
理由は本作の中では何度も「アパムの戦争の見方」が描かれていました。
アパムは戦争のいい面を少しでも見出そうと努力しました。
戦場での友情を本にしようと考えたり、実際に捕虜になったドイツ兵に水を与えたりタバコを与えたりと良心的に接してきました。
そして「戦争での経験は感覚と肉体を鍛え上げることができる」と、まるで自分に言い聞かせるように戦争の良い面を見出そうとしていました。
しかし実際の戦場はそんなに生ぬるいものではありません。。
民間人を救出していたカパーゾは狙撃され、本来戦闘に加わるべきではない衛生兵のウェイドは「死にたくない!」と叫びながら目の前で死にました。
そして何より、友情に近いものを感じ、一度は解放したドイツ兵が普通に戦線に復帰して、最後は恩人でもあったミラー大尉を撃ち殺す始末です。
「戦場は殺さなきゃ殺される」
幾たびもの戦闘経験を通じてアパムはそう確信したからこそ、最後ドイツ兵を撃ち殺したのかもしれません。
ミラー大尉の手の震えの謎
本作を観て、ミラー大尉の手の震えの描写が印象的だった方も多いのではないでしょうか。
手の震えの原因はなんだったのか、、あくまで考察の域ですがこちらに関しては以下の別記事にて解説しています。
気になる方はぜひ参照してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本作は初見ですとその衝撃的内容とグロテスクな描写に呆気を取られ、「トラウマ」に残りやすいことも特徴の一つですが、細かい描写を見ていくと監督の意図やメッセージが隠されている気がしました。
まだ一度しかご覧になれていない方は、是非無理のない範囲で2度3度と視聴していただくことをおすすめします。
お読みみいただきありがとうございました。
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