映画「フォレスト・ガンプ」は1994年公開のアメリカの作品です。
今回はそんなフォレストガンプを鑑賞してみて、個人的に気になった部分の考察と解説を少しだけまとめさせていただきました。
まだご覧になって居ない方は是非一度視聴いただいてからこちらのページに戻ってきてみていただきたいです。
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作品情報
「フォレスト・ガンプ」のキャスト
フォレストガンプ⇒トム・ハンクス
ジェニー⇒ロビン・ライト
ダン中尉⇒ゲイリー・シニーズ
バッバ⇒ミケルティ・ウィリアムソン
息子フォレスト⇒ハーレイ・ジョエル・オスメント
「フォレスト・ガンプ」の受賞歴
- 第19回日本アカデミー賞 1996年
- 第67回アカデミー賞 1965年
- 第52回ゴールデングローブ賞 1995年

個人的には人生で見るべきおすすめ映画のうちの一作ですが、さすがに名作だけあってキャストも受賞歴も中々豪華ですよね。
「フォレスト・ガンプ」あらすじ
本作の冒頭は、フォレスト自身がバス停で待っていた看護師さんに自身の半生を語りながら回想する場面から始まります。

映画の中盤まではほとんど回想シーンというのもこの映画の特徴ですね。
主人公のフォレストは幼少期からいわゆる「普通の子」とは違っていました。
知能指数が低いことから始まり、背骨は歪んでいました。その為、矯正器具を付けた幼少期を過ごします。
そんなフォレストに対して母親は「あなたは他のこと何も違くないのよ。」とそう伝えながら育てていましたが、責任感を誰よりも感じていたのは母親自身だったかもしれません。
そんなフォレストは通常なら養護学校行きでしたが母親の努力もあり、一般教養レベルの学校へ入学できることに決まります。
ジェニーとの出会い
しかし他の子と違うフォレストは馴染めるはずもなく、初日の通学時のスクールバス内でいきなり厳しい現実に直面します。
しかしそんな時にフォレストを救ってくれる存在が現れます。それが後の伴侶となるジェニーでした。
ジェニーはフォレストが同級生にいじめられてピンチになると必ず「走って!フォレスト!」とそう叫び、フォレストを後押ししていました。
その影響からいつも全速力で走っていたフォレストは、いつのまにか矯正器具が無くても走れる体に成長し、誰よりも劣らない脚力も身につけていました。
そんなジェニーとフォレストはいつも2人一緒に過ごしました。時には夜遅くまで一緒にいることも。
ジェニーはこの頃、酒乱の父親から性的虐待を受けていました。その為ジェニーは家に帰りたがらず、途中フォレストと一緒に父親から逃げる場面もありました。

小さい頃に初めて見た時には意味が分かりませんでしたが、「ジェニーの父親は愛情深い人で、いつも娘たちにキスしたり触ったりしていた」というフォレストのセリフは、それを意味していたと言うわけですね。
高校生のフォレストに訪れた転機
その後フォレストは高校生にまで成長しましたが、同級生のいじめは変わらずあり、車に追われることもありました。
変わらず町中や走って逃げるフォレストでしたが、その脚力がある日、大学のアメフト部監督の目に留まります。
それもあり、フォレストはアラバマ大学に推薦入学できることが決まります。
一方ジェニーは女子大へ進学。
大学ではアメフトをただやり続けたフォレストでしたが、試合での成績などが評価され大学を無事に卒業します。
大学の卒業式では、陸軍への入隊案内に声をかけられ進路を何も決めていなかったフォレストは、イエスマン的に入隊を決めます。
突然始まった軍隊生活にぴったりはまるフォレスト
軍隊に入隊したフォレストは、また初日のバスの中で厳しい洗礼を受けます。が、そこでもフォレストの前には救世主が現れます。それがその後の生涯の親友にもなる、黒人のバッバでした。
バッバの実家はエビ採り業で生計を立てており、バッバ自身も将来はエビ採り船の船長になることを夢見ていました。
軍隊での生活を完璧にこなすフォレストの隣で、終始エビの雑学を話し続けていたバッバの姿は愛くるしさと同時に笑いを誘いましたね。
言われた指示をその通りにこなすだけの軍隊生活はフォレストの性格にぴったり合っていたのか、フォレストは軍隊において将来を有望視されるほどの人物になります。
一通り訓練を終えたフォレストとバッバは遂に戦地のベトナムへ旅立ちます。
ベトナムではこれも後の親友となる、ダン中尉がいました。
ダン中尉の率いる中隊の一員としてバッバとフォレストは行軍しますがある日ベトナム軍のゲリラ攻撃に遭遇し、壊滅的被害を受けます。
ジェニーに言われた「危ない時は一目散に逃げて」の言葉の通り逃げたフォレストでしたが我に帰り、仲間のことを救うことに決めます。
途中で負傷したダン中尉のことも見つけ救いました。
そのあともバッバを探す途中途中で仲間の助けの声を聞き、それに応えたガンプでしたが最後の最後に親友バッバを見つけます。
バッバは爆撃でかなりの傷を腹部に負っており、重傷でした。
フォレストもまさか親友との最期の会話になるとは知らず、バッバと話します。そしてバッバはベトナムで死んでしまいます。

バッバの「家に帰りたいよ。」という最期のセリフは、本当に心に突き刺さるものがありましたね。
入院生活中のまさかの出会い
みんなを救っていた際に、お尻を銃撃され負傷していたガンプは軍の病院は入院しますが、入院中に卓球に出会います。卓球とフォレストの相性も非常によく、”ただ球をよく見て打ち返すだけ”という卓球はフォレストの性格と非常にマッチしていました。そうしてフォレストは、「全米代表チーム」に選出されるまで頭角を現します。
その後、フォレストのもとには「除隊書類」が届き、ようやくフォレストの軍隊生活は幕を閉じます。
エビ採り業開始
軍隊生活後は今は亡きバッバとの約束を果たすため、エビ取り業に挑戦しますが、思うようにエビは採れませんでした。先輩漁師のアドバイスで船に「ジェニー号」と名前を付けるも中々成果は現れずフォレストは途方に暮れます。
そんな時現れたのは車いす姿のダン中尉でした。ダン中尉はフォレストと共にエビ採り業に加わります。その後、ダン中尉のおかげ(?)もあってかエビ採り業はラッキーなことに成功をおさめ、大儲けするのでした。
エビ採り業が勢いに乗ってきた矢先、フォレストのもとに悪い知らせが入ります。母親の病状が悪化したのです。状態的には危篤に近く、最後のあいさつはできたものの、お母さんはあの世に旅立ってしまいます。

母の「死は生の一部。怖がることは無いのよ。」というセリフは本当に考えさせられますし、母の優しさが感じられる言葉ですよね。
突然フォレストのもとへ姿を現したジェニー
エビ取り船で大金を手にしたガンプはその余ったお金をバッバの家族に贈ったり、教会の建設の寄付に使いました。

ここでも、母親の残した「必要以上のお金は意味のないお金。」という名言が活きます。この言葉は現代の私たちにも必要な考えかもしれませんね。
暇を持て余したフォレストは、無料で大好きな芝刈りをひたすらしていました。そんな時も常にジェニーのことを思い続けていたフォレストでしたが、ある日、ついに本物のジェニーがフォレストの前に姿を現します。
フォレストはジェニーと他愛もない日々を過ごしました。そんなある日、フォレストはジェニーに「結婚しよう。僕はいい夫になるよ。」とプロポーズをします。一度は受け入れなかったように見えたジェニーですが、その夜、ジェニーはフォレストを抱くのでした。
翌朝ジェニーが居なくなり…。
しかしその翌朝、ジェニーはなぜかフォレストを置いていなくなります。フォレストは何が何だかわからず家で呆然とします。
そしてふと思い立ち、街をただただ走り始めるのでした。走り出したフォレストはその距離をどんどん伸ばしていきます。目標などなく、ただ走るのでした。
ガンプが履いていた”ジェニーからの贈り物”のナイキシューズ

この映画のテーマにも思える「走る」シーンが大いに描かれた場面でしたね。このシーンに関しての捉え方は人それぞれ、色々な解釈が出来ると思います。
3年と2カ月14日16時間走り続けたフォレストは、ふと足を止め、家に帰ります。
そのフォレストのもとへジェニーからの手紙が届きます。
手紙に書いてある場所でフォレストを待っていたのは
フォレストはジェニーに言われるがまま、ある場所に向かいます。そこにはジェニーと小さい男の子がいました。そう、フォレストの息子だったのです。
突然の対面に驚きを隠せないフォレストですが、父になることを受け入れます。

フォレストが息子のことを喜んだ矢先、知能の面などを心配した場面は何とも複雑でしたね。
式を挙げ、幸せになった矢先に…。
その後、ジェニーとフォレストは式を挙げ、正式に夫婦となります。そこにはダン中尉とダン中尉のフィアンセの姿もありました。
しかし、式のあとジェニーの病状は悪化していきます。日に日に弱っていくジェニーは、フォレストのそばであっけなく亡くなってしまいました。
フォレストは、ジェニーのお墓の前でジェニーに息子の近況報告などをし、語りかけます。ただそうしても寂しくなり、劇中ではじめてと思われる涙をフォレストは流すのでした。
最終的には息子との二人の生活が始まるのでした。
映画は、フォレストの足元に落ちた羽が風に舞い飛んでいくシーンで幕を閉じます。
映画「フォレスト・ガンプ」考察ポイント
考察①ダン中尉がソックスにこだわった理由は?
ベトナム戦争のシーンでダン中尉が出合い頭に放ったセリフはなんとなく印象的でしたよね。それもそのはず、軍隊に入り中尉からどんな命令が下されるかと思ったら「休憩のたびに靴下を履き替えろ」というものでした。
しかしもちろんこれにはれっきとした理由があります。
メコン川には非常に多様な生態系が存在しており、我々の想像を遥かに超える病原体や微生物、寄生虫などが住んでいるんですね。
そんな中を、擦り傷でも負った脚で歩いていれば病気になったり膿んで脚が腐ってもおかしくありません。
それゆえ、ダン中尉はとにかく頻繁に靴下を替えろ!と計画していたわけですね。
様々な修羅場を乗り越えてきたからこその実践的なアドバイスだったわけです。
考察②運命はあるの?それともない?
この映画のメッセージの一つには
「運命はあるのか、ないのか」
がありますよね。
この映画ではその問いに対する一つの答えを、主人公フォレスト自身が映画後半で語っていました。
「僕にはわからない。正しいのはママなのか、ダン中尉だったのか。僕らにはみんな運命があるのか、それともただ風に乗ってさまよっているのか。たぶん、その両方だろう。両方が同時に起こっている。」
フォレスト・ガンプ
この世の中、本当に「運命」というものはあってその運命の通り人生は進んでいくだけなのか、本当の真相は誰も知る由はありません。
しかし、「運命」が決まっていたとしてもそこに行きつくまでの過程までもが全て決められているとは限りません。
フォレストの母親が良く言っていたように「死は人生の一部」です。死は誰にでも必ず平等に訪れます。しかしそこに行きつくまでの人生はまさに「チョコレートの箱」です。
人生で何が起きるかは誰も分からないのです。それは時にいいこともあれば悪いこともあるでしょう。風に吹かれてさまよう羽の様に身を任せてもいいのかもしれません。
③フォレストはなぜ大陸を無我夢中に走ったのか?
この映画の重要なシーンの一つとして、フォレストが走る場面が何度も映されます。
その中でも特に印象的なのが、
映画後半でフォレストが「理由もなく」アメリカ大陸をかなり長距離走り続けたシーンですよね。
この場面に関しては色々な解釈ができるかと思いますが
個人的な考察としては、走り終えるシーンでフォレストが語っていたセリフでもあったように、ジェニーが再び居なくなってしまった朝、詳細は分からないけど「とにかく前に進まなければならない」と本能で感じたのかもしれません。
「ママが言っていたけど、前に進まなきゃいけない時には、過去を置いていけって。僕が走ったのはその為だったと思う」
フォレスト・ガンプ
また別の見方としては、
「理由はないけどただやりたいことをやる。時にはそういったことも人生には大切」
というメッセージもこのシーンにはあったのかな?とも感じました。
それを際立たせるために、大陸横断中に、走っていたフォレストが話題になったことをきっかけに取材班がたくさん押し寄せていましたが、彼らはその「理由」にだけ執着してそこばかりを気にしていました。
自分を含め世間の人々は大人になるにつれて何かをやる時の「理由」にこだわりすぎなのかもしれませんね。
誰しも子供の頃は理由がなくてもやりたいことをやっていたのではないでしょうか。それなのにいつしか大人になり見栄の為に行動をしている一面もあるのではないでしょうか。
やりたいと感じたことをやる、一見当然のことですがすごい大切なことですよね。
まとめ
フォレストガンプは時代を超えてもなおすたれることの無い映画だと思います。
映画という短い時間での世界ですが、人生に大切な名言やメッセージがたくさん盛り込まれております。
まだ1~2回しかご覧になっていない方は、是非3度4度と観てみて下さい。回数を重ねれば重ねるほど、新たなメッセージや考察が見つかると思います。
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