【考察】ミラー大尉の手の震えの原因とは(映画プライベートライアン)
・ミラー大尉の手の震えの原因を知りたい
・ミラー大尉の手は何故震えていた?
・PTSDや戦争神経症との関連性は?
こんな疑問を解決します。
映画「プライベート・ライアン」はスティーブンスピルバーグ監督の手掛けた大作です。
今回の内容では、本作を鑑賞して気になった事の一つ、「ミラー大尉の手の震え」にフォーカスを当てて考察していきます。
【考察】ミラー大尉の手の震えの原因
本作では幾度か「ミラー大尉の手の震え」が映し出される描写がありましたが、個人的には以下の二つがこの震えの原因として挙がりました。
- 自律神経失調症による震え
- パーキンソン症候群発症による震え
中でも個人的には前者の自律神経失調症による震えである可能性が濃厚だと考えました。
自律神経失調症が濃厚と考えられる理由
理由は、ミラー大尉の人柄です。
ミラー大尉は責任感が強く部下思いのリーダー。「過去に94人の部下の死を見てきた」と語っていた場面からも、部下の死に対する責任を強く感じていることが読み取れます。
ミラー大尉は「部下の死はすべて仕方がなかったものだ」と自分に強く良い聞かせて何とか自身の精神を保ってくるように心掛けてきました。
しかし中にはどうしても「仕方がなかった」とは到底割り切れない死もあった事でしょう。そうしたストレスが常に大尉の心にかかっていた可能性は非常に高く、その辛さは常人では想像のつかないものでしょう。
またこの説が確定的となった証拠の一つは、映画中盤、ウェイドが亡くなる場面でも確認することができました。
ウェイドの死後、ウェイドが持っていた「戦略の書かれた地図のような紙」を見て泣くミラー大尉でしたが、その場面でも手の震えの強まる描写がありました。
また「水を飲もうとした拍子」に手の震えを発症し、飲み始める時には震えが収まっていた描写からも、自律神経失調症からくる震え特有の「運動時振戦」の症状が見られ、この説は私の中でより濃厚なものとなりました。
「部下の死後」や「部下の死が近づいている時」に手の震えは現れていた?
さらに細かく見ていくと、ミラー大尉の震えが出始めるタイミングには若干の共通点が見られます。
その共通点というのが、「部下の死後」や「部下の死が近づいている時」などと言った場面です。具体的には以下のような場面でその描写が映し出されました。
- ノルマンディー上陸前、水筒を飲もうとした場面
- ノルマンディー上陸作戦後、水筒を飲もうとした場面
- 中隊の仲間に指示を出すために方位磁針を手に持った場面
- 映画終盤、市街地での銃撃戦前のライアンとの会話のシーン
- ミラーが亡くなる直前のライアンとの会話シーン
「パーキンソン症候群」との関連性
ちなみにパーキンソン症状との関連性が考えられた理由として言われているのが、「バックトゥザフューチャー」の撮影で関りを持ったマイケル・J・フォックの存在です。
映画「バックトゥザフューチャー」は1985年に制作されました。
一方今回の「プライベートライアン」は1998年に制作されました。
そしてマイケル・J・フォックスのパーキンソン病の診断が医師より伝えられたのは1991年。まだマイケルが20代の頃でした。
時系列的にも、スティーブンスピルバーグがこのマイケルの病気を映画の中の演出に取り入れた可能性もゼロではないでしょう。
ただ、パーキンソン症候群によくみられる「歩行障害」などの症状を映した描写が特段なかったことから考えるとこの説はそこまで可能性の高い説ではないことも見て取れます。
「PTSD」「戦争神経症」との関連性は希薄?
ミラー大尉の手の震えが「PTSD」や「戦争神経症」と関係があると考えた方も多いのではないでしょうか。
しかし個人的な結論としては、本作ミラー大尉の手の震えはPTSDや戦争神経症とは関連性が低い可能性が高いです。
理由は、症状に若干の違いがあるから。
双方の主症状としては手の震えよりも動悸やめまい歩行障害や、あったとしても全身の震えなど。ミラー大尉の発症タイミングを見ても「過去の恐怖や死の恐怖を思い出しての発症」ではなかったでしょう。
また先述した通り、本作ミラー大尉の手の震えのシーンは以下の場面でのものでした。
- ノルマンディー上陸前、水筒を飲もうとした場面
- ノルマンディー上陸作戦後、水筒を飲もうとした場面
- 中隊の仲間に指示を出すために方位磁針を手に持った場面
- 映画終盤、市街地での銃撃戦前のライアンとの会話のシーン
- ミラーが亡くなる直前のライアンとの会話シーン
このタイミングを考えてもやはり「自律神経」に何らかの影響が及んだ結果の震えだったと考えるのが妥当でしょう。
まとめ
戦争の戦禍の中での精神的ストレスは計り知れないものと言われています。
銃声や爆音が響き渡り、いつ自分が死んでもおかしくない環境下において、大切な仲間を多く失ってきたミラー大尉が感じていたストレスはどれほどの物だったのか。
劇中終盤、ミラー大尉はライアンに言葉を告げて亡くなりましたが、最後の最後で手の震えが止まったミラー大尉にとってライアンの救出に成功した功績は大きかったことでしょう。
戦死してしまったとはいえ、最後に手の震えが治っていた場面を見ると、ミラー大尉は全ての責任や罪悪感からやっと解放されたのかもしれません。
グロテスクな描写から毛嫌いされることもある本作ですが、ぜひミラー大尉の手の震えに注目し、見直し鑑賞してみてくださいね。
お読みいただきありがとうございました。
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