映画「7つの贈り物」は、日本では2009年に公開をされたウィルスミス主演の作品です。
今回はそんな本作を実際に見て感じた感想や、気になった考察部分を深掘りして記事にしてみました。
「7つの贈り物」を観た感想
作品の作り方として、映画終盤に差し掛かるまで主人公ティムがどうして自分を犠牲にしてまで人助けをしようとしているのかという背景について触れないまま物語が進んでいくため、初見の場合だと中盤でついて行かずに置いて行かれてしまったという方も多かったのではないでしょうか。

ちなみに私は見事にそのタイプでした。
ただ、ラストまで見終わった後に全てが繋がるというか、たとえば冒頭でコールセンターのエズラに敢えて暴言を吐いていたシーンなんかは、主人公ティムがどんな気持ちで電話を掛けていたのかを考えると、一度また二度目の鑑賞では見方がだいぶ変わってきて、面白い作品だと感じました。

また本作終盤、主人公ティムがハブクラゲを使い自殺をする場面がありましたが、いくら心臓に負担をかけないように自殺をしたかったとはいえあそこまで壮絶な方法を選ばなくても良かったのではないのか?とも思いました。。
例えばよくドラマなどでも見るような睡眠薬を多量服用する方法など、いくらでもあったようにも思えますよね。
それなのにティムが最後の自殺手段に「ハブクラゲ」を選んだのは彼なりの”最期の罪滅ぼし”のようなものだったのかもしれません。幼少期に父親から教えられたように、「この世で最も強い毒」を持っているハブクラゲの触手で、激しい痛みを感じながら命を絶つ方法が、極限状態に置かれていたティムにできたせめてもの罪滅ぼしだったのかもしれませんね。

「7秒間で自分の世界を壊した」主人公ティムでしたが、最終的には自らを犠牲にしながらも7人もの人々に希望と新たな世界を作り出すことに成功したのかもしれません。
「7つの贈り物」での考察ポイント

ここからは、本作を鑑賞してみて個人的に気になった部分を独自に深掘り&考察してみました。
主人公ティムと「水」の関係性
本作では要所要所で「水に濡れるティムの姿」が映し出される描写がありました。
ただ水と言っても時には雨水だったり海水だったりシャワーのお湯だったりと様々でしたが、最も印象的だったのはやはり映画終盤、浴槽に張った氷水にティム自身が浸かるシーンでしょう。
個人的にこれらの描写はキリスト教の「洗礼」と何か関係があるのではないかと考えました。
上記サイトによるとキリスト教における「洗礼」は一種の「贖罪」の意味があるとも言われています。

まさに罪を水で洗い清めるというニュアンスかと思われます。
そう考えるとラストシーン、ティムが自殺をした場面において、なぜあのような手段を選んだのかという問いに対しても「キリスト思想」的な理由があるようにも思えますね。

そう考えると、ラストシーンに映し出された浴槽は「棺桶」を意味しているようにも見えますし、狭い浴槽の中でもがき苦しむティムの姿は、もう後が無く逃げ場のないティムの心情を表していたようにも思えますね。
ベン(ティム)が勤めていた仕事は?
本作冒頭で、事故直前のティムが会社で仕事をしていた場面が一瞬映し出されましたがティムがどんな仕事に就いていたのかって、結構気になりますよね。
ちなみにそのシーンでティムの後ろに映っていた社名と思われる英語表記は以下になります。
「apogee aeronautics」
この英単語たちを直訳すると
apogee→遠地点,最高点,極点,絶頂
aeronautics→航空学の、または、航空学に関する
となります。
またベンが部下たちに説明していた話しを振り返ると、
「このエンジンは、宇宙空間へ突入するまでの推進力が非常に強い」と話していましたね。
このことからも宇宙船のエンジン(もしくは航空機のエンジンまでも幅広く)を扱っていたような、いかにも稼ぎの良さそうな業界に勤めていたことが推測されます。

作中でもベンはエミリーとの会話の中で「人を月に飛ばす分野のエンジニアになりたかった」と語っていましたね。
ましてや、社内ミーティングで壇上に上がり「営業を勝ち取るコツ」を力説していた姿からしても、社内での地位が決して低くなかったことも予想できますね。

それだけの地位や名誉、そして愛する人をそばに置きながら、仕事に没頭しすぎたあまりのベンの事故は、本人を失意させるのには十分な威力があったと言えるでしょう。
主人公ティムの弟ベンの素性
本作には主人公ティムの弟の存在もストーリーの鍵を握る存在として描かれていましたね。
お兄さん思いで優しく責任感のある弟ベンでしたが、映画冒頭で兄ティムへ電話をしていたシーンではこんな会話がなされていました。
「もう(たばこは)吸ってない。体重も9キロ増えたよ。」
弟ベン・トーマス
このセリフから推測できるのは、
- タバコの吸いすぎで患った肺がんの影響から体重が減少していた
ことが考えられます。
税務局員というストレスの多い職業についていたこともあり、タバコを大量に吸っていた可能性が推測できます。

肺がんの弟に肺を提供するほど弟思いだった兄のティムでしたが、弟のベンもその優しすぎる性格から何かよからぬことを考えているのではと予感していたのかもしれませんね。
ハブクラゲの危険性
本作に出てきたハブクラゲの存在感は中々のものですよね。
主人公ティムの選んだ自殺方法は見ているものの予想を裏切る手段でした。
ちなみにハブクラゲ、日本ではあまり聞き慣れない生物ですが実は沖縄の全域にも生息している割と身近な生き物なんですね。
そして刺されれば致死率も高い為、日本でも亡くなっている方もいるのが実情です。

ちなみに日本人Youtuber
ベン(ティム)の抱えていた苦悩
ベン(ティム)は自身の招いた事故の責任を非常に重く受け止め、責任をずっと感じていたかと思われます。
そうじゃないと、いくら責任や罪悪感を感じたとしても自らを犠牲にしてまでの決断は中々出来ないものではないでしょうか。
また、ティムは日常生活のふとした時に事故のことを思い出してしまう一種のフラッシュバック的な症状にかなり悩まされていた可能性も考えられます。
その一つの証拠となるのが、映画終盤、ティムがシャワーを浴びていた場面で見受けられました。
ティムはいつも通りシャワーを浴びていたのですが、頭からシャワーを浴びた時、事故の日の雨に濡れた自身の姿を見て思い出したのです。
そのあと浴槽へりに座り込んで考え込んだのもその影響でしょう。
まとめ
本作は、事故により大罪を犯した主人公ティムが、償いの気持ちで自らを犠牲に身を削るストーリーでしたが、主人公ティムが行った行動すべてが正しい行動であったのかと言う問題は、観た人によっては疑問点かもしれません。
見方によっては、「一種の自己満足的な贖罪」と捉えられることもあるかもしれませんね。
ただ、同じ状況になれば、一体何をしたらよいのか分からなくなる方がほとんどでしょう。
そんな状況下でティムが取った本作での行動は一概に誤りとは言えないのではないでしょうか。
鑑賞2周目以降は、そういったティムの何とも言えない心情が読み取れることが出来るので、そこも本作の見所の一つです。
改めて見直し鑑賞をしたい方は、是非サブスクなどを活用して見直し鑑賞してみてくださいね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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