【考察】「青い春」で描かれた”黒色”が持つ意味 なぜ青木は黒色に染まった?
映画「青い春」は2002年公開の青春映画です。
本作では、その映画タイトルとは裏腹に「黒色」が多く出てきます。
登場人物のセリフはもちろん、映像としても多く「黒色」が描かれていました。
本記事では以下について考察していきます。
- 映画「青い春」に出てきた「黒色」の持つ意味
- 映画終盤、青木が黒色に染まっていった理由
映画「青い春」に出てきた「黒色」の持つ意味
①不良としての憧れ
一つには登場人物に出てきた彼らの「不良としての憧れ」の形で描かれていた可能性が考えられます。
黒色に惹かれる人間の心理は以下のようなものとも言われています。
強い意志を持ち、自分を確立していこうとする時」「威厳を保ちたい時」
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閉塞し、まだ社会にも出ていない故に守られた空間で過ごしていた「大人にも子供にもなりきれていない彼ら」は黒色に惹かれ、自分を確立するためにそれぞれ異なる行動を取ったのかもしれません。
②将来に対する漠然とした不安
二つ目に考えられるものとしては、一同が感じていたであろう「将来に対する漠然とした不安」の現れとして黒色が描かれていた可能性です。
高校に入学すると、1〜2年生までは何も考えずにただ楽しい日々を毎日繰り返すだけです。
ですが3年生に上がると一変、「卒業後の進路」を迫られます。
特にこれと言ってやりたい仕事や進路が決まっていなかった木村や雪男らは路頭に迷い、(世間的には)誤った選択をしてしまいました。
一方九條は、桜の木の世話をしていたオバケのように「欲しいものが分かっている奴」のことを「怖い」と話していました。
そういった多感な時期の高校三年生ならではの不安や悩みを「黒色」という表現で映し出した可能性は高いのではないでしょうか。
映画終盤、青木が黒色に染まっていった理由
青木が本作ラストシーンで(自らスプレーを手のひらなどに噴射し)黒く染まった理由は以下のような感情を抱いていたからという可能性があります。
- 孤独
- (将来への)不安
- 人と距離を置きたい心理
そして青木が黒く染まっていった最大の理由には「死の影が近づいている事」を暗示した描写だった可能性も考えられるでしょう。
黒は死を象徴する色とも言われています。
校舎が黒く塗りつぶされているように(錯覚から)見えてしまった九條は、青木が死ぬ直前にその影に気づいたのでした。
まとめ
ラストシーン、青木は死んでしまうというバッドエンドを迎えるのですが、死んだ後の青木の表情はどことなく笑っているようにも見えました。
そして手を上げたままコンクリートに打ち付けられた「バンザイ姿」の青木は、「ずっと夢だった九条越え」を果たすことが出来、まさに花を咲かせて死んでいったのかもしれません。
バッドエンドなのかハッピーエンドなのか、観る方によって捉え方は様々でしょう。まだ一度しかご覧になれていない方はぜひ、二度三度と見直してみてくださいね。
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