2006年に公開された細田守監督の名作「時をかける少女」を皆さんはすでにご覧になられましたでしょうか?
既にみた方の中には「時系列が複雑で混乱した」「一度見ただけでは内容が複雑で難しく感じた」といった感想を抱いた方も多いのではないでしょうか。
また劇中の各キャラクターのセリフもやや意味深なものも多く、一度観ただけではすべて汲み取るのはやや難易度の高めな映画です。
今回はそんな「時をかける少女」の内容の考察を素人目線で書かせていただきました。内容にはネタバレが含まれていますのでまだ映画をご覧になっていない方は映画視聴後、改めてこちらまで戻ってきていただけますと幸いです。
千昭の元々生きていた時代は相当先の未来?
劇中で千昭が、自分の生きていた未来の世界のことについて触れるセリフがありましたが、そのセリフから考えるに、今の世界とはだいぶ違う環境に変わってしまっていることが読んで取れますよね。
川が地面を流れてるのを初めて見た。自転車に初めて乗った。空がこんなに広いことを初めて知った。何より、こんなに人がたくさんいるところを初めて見た。
千昭
遠い未来の世界は、地球温暖化等の環境変異による影響を受け荒廃してしまっているのか、はたまた大きな戦争が起きることで世界が荒廃してしまったのか。
これに関しては色々な可能性が考えられますが、昨今の世界情勢を見てると何が起きてもおかしくはありません。
ただ希望も無いような荒廃した世界にいた千昭からすれば、美術館に飾られているとされていた「絵」は唯一希望が見出せる可能性のあった特別な存在だったのかもしれません。
ラストシーンの空に映る「入道雲(積乱雲)」には細田監督の思いが込められていた
映画のラストシーン、真琴が空を見上げるシーンで大きく映し出される入道雲(積乱雲?)は印象的ですよね。
何か意味がありそうだなと思い調べたところやはり細田監督なりのメッセージが込められていました。
入道雲ってモクモク成長していくんですよね。どの映画も主人公がささやかな一歩かもしれないけれど、少しずつ成長するので、そのテーマを象徴的に入道雲に託しています。それと、夏休みにアニメ映画を観ることは、子どもにとって重要なことだと思うわけです。自分自身もそうですけれど、夏休みに観た作品たちが単に面白かっただけではなく、思い出を彩る作品でした。今、めぐりめぐって作品をつくる立場になって、”お返し”じゃないですけれど、子どもたちが大きくなっても思い出せるような夏の思い出をちゃんと作ってあげたいという思いがあります。夏休みに子どもが冒険をして、一皮むけて成長するっていうのは絶対になくてはならないことです。そういうものを体現する映画は絶対に必要だと思います。
細田監督
最後の空を見上げるシーンは、「真琴自身の成長」と「これからの真琴の未来」を象徴した描写と捉えられます。
また子供の頃の夏休みのワクワク感を思い出させてくれるような魅力がこの映画にはあります。そういった細かい描写にまでこだわって作られているのが細田監督のすごさのひとつでもあるでしょう。
Time waits for no one=歳月の流れは人を待ってくれない
黒板に書かれた意味深なメッセージとして印象深い「Time waits for no one」の文字ですが、個人的には千昭が書き残した文字かなと思っています。
時の流れるのを止めることは出来ないし、どれだけ幸せな時間だと思っていたとしても時は我々を待ってはくれません。
千昭もそれを把握はしながらも「3人で過ごす楽しかった時間」を少しでも長く過ごす為に、過去の時代に残ってしまったのかもしれませんね。
まとめ
ジャンルとしては「青春映画」や「恋愛映画」として括られるのかもしれませんが、作品の節々に「時間は過ぎていくもの」「二度と戻らない今の瞬間を生きる大切さ」などといった人生観にも通じるようなメッセージが含まれているように感じられました。
内容を思い出して、「また観てみたい!」そう思った方は是非見返してみることをお勧めいたします。
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